2021.02.10 | Topics
新型コロナウイルス感染症で医療そして生活、社会においても苦難の年となり今もなおその戦いが続いています。心臓血管外科手術も第一波の時に手術数が減ったものの、その後増加傾向にあります。重症、緊急症例そしてシャント等の末梢血管症例は多くなっています。当科も当院でのコロナ診療を微力ながら分担しつつ、心臓血管外科診療に励んでいます。
【最新の低侵襲治療】
心臓血管治療もカテーテルでの治療、低侵襲小切開手術が増加しました。ステントグラフト、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)においては内科外科が合同で治療を行っています。TAVIはその安定した成績を背景に、増加傾向にあります。胸部、腹部大動脈瘤、急性B型大動脈解離に対するステントグラフト手術の割合も増えました。重症心不全に対しても、カテーテルによる低侵襲治療(IMPELLA)をさせていただき、救命しえなかった重症心不全も心筋ダメージを与えることなく回復するケースも増えてきました。
その反面、侵襲はあるものの左室から大動脈へ直接ブリッジである左心補助装置(LVAD)の絶対的な威力を改めて見ることがあり、カテーテル補助(IMPELLA、PCPS)で改善しない場合には躊躇せずに適切なLVADを取りつける構えであります。同様に、大動脈瘤に対しても、確実で遠隔期の再発がない人工血管置換術を安全に行える体制を維持してまいります。
低侵襲小切開手術ダヴィンチロボット補助下の僧帽弁手術、冠動脈バイパス術(Robotic MIDCAB)を昨年13例行い本年もさらに発展させてまいります。
【今後の展望】
大学卒業後より心臓外科手術にたずさわり35年となりました。また、当院で手術をさせて頂き23年が経ちました。冠動脈バイパス術は2000例以上させていただきましたがその奥の深さを感じながら今でも1例1例に対して身を引き締める気持ちで臨んでいます。
また、手術支援ロボットダヴィンチによる僧帽弁形成術にもさらなる習熟を目指しています。若い先生とともに、気力、体力を維持して多くの経験と反省から得た技術をさらに磨いてまいります。今後とも何卒宜しくお願い致します。
2020.10.15 | Topics
オンライン心臓血管外科術後医療講演開催
2020年10月7日(水)、21回目となる心臓血管外科術後の会を『オンライン心臓血管外科術後医療講演』と題し、初めてオンラインにて開催致しました。今回は、術後の会の会員さん約30名の方が参加されました。
開会挨拶後には、心臓血管外科部長の只腰雅夫による『血管手術、シャント後に気を付けること』の講演が行われ、その後、総長の大橋壯樹による『心臓血管外科手術後に気を付けること』の講演が行われました。次に、患者さんからの質問等に回答する医療相談が行われ、術後の様々な疑問や相談にお答えしました。
さらに、今回参加して頂いた方には、お楽しみ抽選会を行い、当選した参加者の方からは喜びの声を聞くことができました。
今後は、直接お会いすることも勿論大切ですが、新しい人と人とのつながり方であるオンラインでの交流の機会も増やしていきたいと思います。
術後の会事務局
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
2020.09.16 |
【オンライン】第10回 春日井心臓血管セミナー開催 ~テーマ:不整脈治療~
2020年9月12日(土)に、オンラインによる『第10回春日井心臓血管セミナー』を開催し、今回のテーマ「不整脈治療」についての講演がありました。オンラインでの開催は初めての試みでありましたが、全国各地から約180名もの方に参加して頂きました。
セッション①では、藤田医科大学ばんたね病院循環器内科准教授の祖父江嘉洋先生が『心房細動への包括的治療』と題し、心房細動に対しての脳梗塞等の発症リスクや予後について、治療方法を段階的に説明しました。さらに心房細動は今後増加傾向にあると言われ、高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、肥満など多くの要因があり、それぞれ積極的に治療介入することで予後が改善する可能性があると講演をされました。
セッション②では、日本医科大学大学院医学研究科の循環器内科学分野大学院教授の清水渉先生が『遺伝性不整脈の最前線~日本国内多施設登録研究から~』と題し、ブルガダ症候群には遺伝子の先天的な異常が関わっていることや、年間再発率の高さを解説し、治療方針としてはICD(植え込み型除細動器)を含め、臨床所見に加え、心電図学リスク指標を考慮して決定することについての講演をされました。
今後も、オンラインを含めた春日井心臓血管セミナーを継続開催し、地域医療に貢献していきたいと思います。
![]() |
|
祖父江嘉洋先生 | |
![]() |
|
清水渉先生 | |
![]() |
|
オンライン中継 | |