医療法人徳洲会とインドネシア共和国の国立ハラパンキタ循環器病センター(日本の国立循環器病研究センターに相当)は、同国の首都ジャカルタにある同センター敷地内での「ハラパンキタ・徳洲会循環器病センター」建設などに関して、12 月11 日に一般社団法人徳洲会東京本部で覚書(MOU)を締結しました。これは、徳洲会が最大100 億円を無償資金協力して推進する共同プロジェクトで、徳洲会とインドネシアの医師ら医療従事者の臨床・研究・教育の場として活用していく計画です。
▲締結したMOUを掲げる東上理事長(左)、イワン院長と、参加者で記念撮影 | ▲「ハラパンキタ・徳洲会循環器病センター」の完成予想図 |
MOU調印式には、徳洲会から東上震一理事長、福田貢・副理事長、大橋壯樹・副理事長、インドネシアからブディ・サディキン保健相、イワン・ダコタ国立ハラパンキタ循環器病センター最高経営責任者(院長)、ヘリ・アフマディ駐日インドネシア共和国特命全権大使らが出席しました。
両国の関係発展などに資することから、外務省国際協力局国別開発協力第一課の鴨志田尚昭課長、厚生労働省医政局総務課医療国際展開推進室の中西浩之室長も立ち会いました。はじめに東上理事長が登壇し「インドネシアとは2004年から交流があります。そのなかで国立ハラパンキタ循環器病センターから、世界に通じる循環器病センターとしてステップアップしたいと話があり、協力を決めました。私たちも参画して新しいセンターを建て、アジアに向けて質の高い高度な医療を提供していきたい」と力強く宣言。
次いで、イワン院長が「世界レベルの循環器病センターへの発展を目的に、徳洲会とMOUを締結する素晴らしい機会に恵まれました。インドネシアだけでなく、アジア・太平洋地域の循環器医療の拠点になることを願っています」と期待を寄せました。ヘリ大使は「今回のプロジェクトはアジア各国にとっても重要になるため支援していきたい」と語りました。
鴨志田課長は「プロジェクトが成功し、インドネシアの医療サービス向上に役立つことを期待しています」、中西室長は「日本政府は16年に『アジア健康構想』の基本方針を策定し、両国間で多数のプロジェクトを実施してきました。MOU締結は同構想にも寄与するものです」と評しました。
ブディ保健相は「インドネシアでは年間55万人が心臓疾患に罹患し、(他疾患を含め)年間200万人ほどが海外、とくにマレーシアやシンガポールで医療を受けています。より近い場所で国民が高度な循環器医療を受けられる環境を整備したいという強い思いがありました。インドネシアの医師は徳洲会から多くを学び、逆に徳洲会の医師はインドネシアで症例経験を積めるという相互関係を構築できます」と、互いのメリットを強調しました。
この後、東上理事長とイワン院長がMOUにサインを交わし、記念撮影を行いました。
続けてイワン院長がセンター建設計画についてプレゼンテーションを行った。計画では地上20 階・地下2 階、460床の施設となる見込みで、26年中の開院を目指しています。
開院後は徳洲会の医師ら医療従事者が日本の医療資格により、同センター内で医療などを行うことに関し、同国保健省から了承を得ています。なお、同国は今年、外国人医療従事者による医療行為を可能とする法改正を行いました。
徳洲会と同国の関係は医療協力に関する協定書を締結した04年に遡ります。05年に透析センターの開設を支援。また、04年、スマトラ島沖地震、06年、ジャワ島沖地震の際はNPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)が災害医療支援を実施。その後も心臓外科や循環器内科の医師を中心に臨床・研究・教育面での医療交流を続けてきた。こうした積み重ねから今回のプロジェクトが具体化しました。