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2018.12.29 | Topics 

冠動脈バイパス術における、内視鏡下大伏在静脈グラフト採取

冠動脈バイパス術において、バイパスする血管の一つとして足の表面に走る大伏在静脈は大事な役目を果たしほとんどの冠動脈バイパス術において大伏在静脈は採取されます。

従来なら20cmから30cmの大伏在静脈を採取するにはその長さの分だけ皮膚切開が必要ですが、そのため、創部の感染、痛みの合併が起こります。心臓をよくする手術のためその程度の合併症は仕方ないですむかもしれませんが、なるべくなら小さな傷口で足の傷口の心配のない手術が望まれます。当院では、過去(2005年~2007年)に120人近い患者さんに内視鏡下大伏在静脈グラフト採取を行っていましたが、本年より新しい機器を使用して再開しました。

図1 従来の手術における大伏在静脈採取の皮膚切開
図2

内視鏡下大伏在静脈グラフト採取による傷口

当院はさらに膝の一カ所のみの傷口です

これを可能にしたのは、特殊な糸結びによる遠隔結紮法を行っているからです。

constrain-750x1500-1292312406 大伏在静脈を剥離する機器です
vasoview-7xb 大伏在静脈の枝を切開し、大伏在静脈を端で切断する機器です
スナップショット 1 (2018-12-29 11-45) 膝に約1.5cmの切開を加え大伏在静脈を剥離します
スナップショット 2 (2018-12-29 11-49) その傷口から鼡径部まで内視鏡で大伏在静脈を剥離します。
スナップショット 3 (2018-12-29 11-58) 枝を内視鏡で切開します
スナップショット 4 (2018-12-29 12-03) 特殊な糸結びで大伏在静脈に糸をかけます
スナップショット 5 (2018-12-29 12-03) かけた糸を内視鏡で20cm奥の鼡径部の根元まで運びます
スナップショット 7 (2018-12-29 12-05) 糸を引くことによって遠隔で大伏在静脈の端を結紮します
スナップショット 8 (2018-12-29 12-06) 大伏在静脈の端を切開します
 スナップショット 9 (2018-12-29 12-08)       糸を切断します
図4trim

術後の創部です。膝の部分にのみ創部があり1.5cm程度ですので痛み、しびれはほとんどありません。感染も稀です。

(創感染は1%ですが、程度は軽微でした)

   
   

 

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