2016.06.01 | International
2016年5月12日、13日とアメリカニューヨークで開催されました『Aortic Symposium 2016』で学会発表をしてきました。『Aortic Symposium』はアメリカ胸部外科学会が二年に一度、ニューヨークで開催する大動脈疾患を対象とした世界的な学会です。世界中から大動脈の手術を専門とする高名な心臓血管外科医が集まり、教科書や論文に必ず名前が出て来るような先生の発表も聞けて非常に実りの多い時間でした。
私は、2012年、2014年に引き続き、当院における若年者の急性大動脈解離の手術について発表しました。急性大動脈解離はきわめて緊急性が高く、緊急手術が必要な疾患です。主に高齢者がかかることが多いとされ、若年者の急性大動脈解離は非常に稀とされています。今回は、当院が行ってきた50歳未満の急性大動脈解離の手術成績を発表しました。今まで緊急手術を絶対に断らないと言う姿勢で多くの急性大動脈解離の手術を積み重ねてきたことで、若年者の症例も数多く経験することができ、それがこういう大きな学会発表の場で報告出来るという非常に誇らしい結果につながったと思います。
また、今回の学会では、新しい治療法、新しい人工血管などの報告も多くありました。大動脈疾患は、手術の結果が直接命に直結する非常に怖い疾患でもあります。しかし医学の進歩にあわせて、その救命率は近年向上してきており、特に日本は世界と比べても非常に良好な成績をおさめています。今回も多くの日本人の高名な先生が発表されて注目を集めていました。
二日間という短い時間でしたが、世界中で活躍する先生方とも交流出来、非常に有意義な時間でした。
先日ニューヨークで行われたaortic symposiumで「Experience of frozen elephant trunk operations with J Graft OPEN STENT GRAFT」という演題で発表させて頂きました。当院で施行したオープンステントグラフトを併用した弓部大動脈瘤手術27例の経験をまとめたものです。私にとっての初めての国際学会であり、その雰囲気に圧倒されましたが、世界の著名な先生方の講演を聞くことができ大変勉強になりました。