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2015.02.03 | Operation 

胸部大動脈瘤(心臓血管外科年報2014より)

急性大動脈解離

 

2014年は62例のA型急性大動脈解離の手術を行い、47例のB型急性大動脈解離を受け入れました。当院での多くの急性大動脈解離の検討を行い、偽腔の血栓化したタイプ、大動脈の拡大していないタイプでも破裂する危険性が高くどのようなタイプのA型急性大動脈解離でも手術が原則であることを昨年の日本循環器学会シンポジウム、胸部外科学会等で発表させていただきました。CTで破裂と診断できない場合でも手術してみると破裂している症例が多く存在していることも判明しました。安定した状態で手術に移行させることも困難なことがあり、術前の降圧、鎮痛鎮静、あるいはショック状態に対しては呼吸循環動態の安定化を図ることが重要と思われました。

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CTでの急性大動脈解離所見

 

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上行大動脈の解離 人工血管にて置換

 

オープンステントグラフト手術

 

弓部大動脈瘤、急性大動脈解離において末梢側の吻合が下行になる場合、吻合が困難で出血、手術時間の延長につながる懸念がありますが、末梢側をステントグラフトに置き換えるオープンステントグラフト手術が復活しました。当院では過去に(1998年~2001年)オープンステントグラフト手術を7例行ないましたが自家製でその煩雑性もあり中止していました。2014年にJグラフトの市販に伴い使用を再開し9例のオープンステントグラフトを用いた胸部大動脈瘤手術を行いました。下行大動脈瘤は原則ステントグラフトを第一選択にしていますが、上行大動脈瘤、弓部瘤、胸腹部大動脈瘤は人工血管置換手術を行っています。ステントグラフトは胸部に19例、腹部に12例の計31例に行いました。弓部大動脈瘤に対してもステントグラフトを行いました。慎重に適応を若年者、ネックのない症例、動脈内粥状硬化(shaggy aorta)の場合は原則手術を選択しています。

 

DAA A型 entry 弓部と下行にも血管 オープンステントグラフト術後
オープンステントグラフト A型急性大動脈解離 オープンステントグラフト置換術後

オープンステントグラフト(人工血管の片方にはバネが張り付いており動脈内に人工血管が膨らんで接着します)

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