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2015.01.22 | Topics 

大阪大学病院での人工心臓の臨床研修

昨年半年間、大阪大学心臓血管外科にて植込み型補助人工心臓を始めとする心不全外科の研修をしてきました。劇症型心筋炎や急性心筋梗塞に対する一時的体外設置型補助人工心臓、拡張型心筋症に対する植込み型補助人工心臓や心臓移植に至るまで、本邦最先端の心不全外科の経験を積んで来ました。

最大限の内科的治療を施行したにも関わらず安静時でも明らかな症状を認める重症心不全に対する外科的治療は、今後、飛躍的な発展が期待される領域です。古くは、左室拡張を伴う重症心不全に対し、Batista手術などに代表される左室形成手術が行われて来ました。しかし、左室形成手術がなかなか心臓移植の代替治療になり得ない状況が続く中、2010年以降、日本の重症心不全外科治療は大きな転換期を迎えました。臓器移植法の改正に始まり、2011年には植込み型補助人工心臓が心臓移植へのブリッジ適応のみではありますが、正式に保険償還されました。

従来の補助人工心臓は体外設置型と呼ばれ、大きな機械が体に装着されるため心臓移植までの数年間の入院が余儀なくされます。しかし植込み型補助人工心臓による在宅治療が日本でも標準的な医療となることで、重症心不全の患者さんが自宅に戻れ、日常生活を取り戻す時代がやってきました。また本邦の植込み型補助人工心臓の生存退院率は非常に高く、ほとんどの症例で在宅治療が可能となっています。

本邦では、依然として重症心不全治療のゴールは心臓移植ですが、海外では植込み型補助人工心臓が心臓移植のブリッジデバイスの枠を超え、心臓移植代替治療としての地位を築きつつあります。今まで、内科的治療の限界を超えると諦めるしかなかった重症心不全患者の治療法の選択肢が飛躍的に広がり、多くの患者さんの自宅退院が期待出来ると考えています。

東海地方には心臓移植施設がなく、心不全外科の領域はまだまだ発展途上の状態にあります。われわれ名古屋徳洲会病院は、東海地方で最初の植込み型補助人工心臓施設であり、一例目の植込み型補助人工心臓手術も経験しております。今後、東海地方の重症心不全外科の領域を先頭に立って引っ張っていけるよう研鑽を積んでいく所存です。

本年もよろしくご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。

 

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景山聡一郎

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