突然死の原因であり最も恐ろしい病気の一つである腹部大動脈瘤破裂についての当院での治療成績です。
80%の救命率
過去に当院で経験した腹部大動脈瘤手術は1130例です。そのうち腹部大動脈瘤破裂は362例で 3人に一人が破裂による緊急手術でした。
腹部大動脈瘤破裂362例について
1998年から2019年8月までに経験した 破裂性腹部大動脈瘤は362例で全腹部大動脈瘤手術の32%でした。男性261例、女性91例であった。平均年齢は75歳であり80歳以上が131例(36%)と高齢者が多いです。大部分は真性瘤ですが、感染性大動脈瘤が1例、炎症性大動脈瘤が2例みられた。また、人工血管置換術後の吻合部仮性瘤が4例、人工血管感染が2例、人工血管破綻が2例みられ、ステントグラフト内挿術後の症例も2例経験した。下大静脈への穿破は2例、十二指腸への穿破は1例であった。 人工血管置換術は357例で施行され、ステントグラフト内挿術は5例で行った。
1週間以内の死亡は51例(14%)、1ヶ月以内の死亡が22例(6%)でした。5例は術前心肺停止となり、手術完遂し生存退院されたのは1例であった。また、術中心肺停止となったのは11例であり、内3例は術中死となったが、3例は生存退院された。腹部大動脈瘤緊急手術を多く行っている当院での術後1ヶ月以内での死亡率は19%であった。
ハイリスク、再手術等の外科治療が困難な場合にはステントグラフトが考慮されますが、開腹人工血管置換手術も救命可能な有効な治療手段であり両方の方法を考慮して最適の治療法を選んでまいります。今後も迅速な対応で当院での80%の救命率をさらに向上させるよう頑張ってまいります。
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