動脈瘤についての解説は心臓血管病を理解しようをご覧下さい。
おなか、胸を切らずに、そけい部を3cm切って足の動脈よりカテーテルによってステントグラフトという膨らむ人工血管を動脈瘤の中から橋渡しをして埋め込む方法です。高齢で大きな手術や全身麻酔で身体に危険を及ぼす場合にこの方法が使用されることがあります。従来の人工血管手縫い手術とカテーテルによるステントグラフト手術の2方法はそれぞれ長所、短所があります。正常血管に手縫いでつなぐ手術方法と異なり、正常血管に密着させるだけのため、完全に動脈瘤の破裂を防止することが難しい場合があります。
東海地区に先駆けて当院では2014年4月よりハイブリッド手術を使用して最新の心臓血管外科治療を行っています。
弓部大動脈瘤に対してもステントグラフト手術が可能となりました。
カテーテル操作と外科手術が同時にかつどちらも最高の環境で行えるハイブリッド手術で最新の画像診断装置とともにステントグラフト手術を行っています。
手術治療、ステントグラフト治療のそれぞれの利点と欠点
(青は利点、赤は欠点)
手術治療 | ステントグラフト治療 | |
方法 | 腹部を約10cm切開し、 直接手縫いで人工血管に換える |
そけい部を約3cm切開し動脈にカテーテルにて網のついた人工血管を留置する |
麻酔 | 全身麻酔 | 全身麻酔又は局所麻酔 |
手術可能かどうか | すべて手術は可能 | 瘤の形、場所、範囲によってはできない場合あり |
手術時間 | 2~4時間 | 1~4時間 |
入院期間 | 1~2週間 | 1週間以内 |
確実性 | 確実 | 不確実(血管の漏れが心配) |
造影剤 | 不要 | 必要(腎臓に悪影響) |
レントゲン | 不要 | 必要 |
再発 | 再発なし | 再発10% |
外来経過観察 | まず必要なし | 生涯定期的に造影剤CTでのチェックが必要 |
合併症 | 腸の機能不全 傷口の心配 |
血管のつまり、漏れ |