抗凝固薬は血栓の生成を防止することにより、血液をサラサラにします。血流の遅い環境下では、凝固が活性化しやすい(フィブリン血栓)という有名な現象が知られています。この血栓が作られる主な原因としてはうっ滞(血液の流れが滞っている状態)があります。不整脈の一種である心房細動では心臓の拍動が上手くいっていないために血液の流れが滞ってしまい、結果としてフィブリン血栓を生成してしまいます。この時に生成したフィブリン血栓が脳に飛ぶと脳梗塞を引き起こしてしまうため、フィブリン血栓の生成を予防する抗凝固薬が使用されます。また、手術後や長い時間飛行機に乗っている状態など、長時間の安静も同じようにフィブリン血栓が作られやすくなります。そのため、これらの患者さんに対しても抗凝固薬が使用されます。 |
代表的な薬剤名 |
リクシアナ |
ジェネリック医薬品 |
なし |
効果 |
血液凝固の経路のうち活性化血液凝固第X因子を阻害することにより、血液の凝固をおさえます。血液を固まらせる働きをおさえ、血液が固まりやすくなっている状態を改善し、血管内で血液が固まって生じる疾患(血栓塞栓症)を予防します。 |
服用方法 |
・下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制:通常、成人は1回エドキサバンとして30mgを1日1回服用します。 |
副作用 |
主な副作用として、皮下出血、血尿などが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。 |
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代表的な薬剤名 | イグザレルト |
ジェネリック医薬品 | なし |
効果 | 血液凝固第Xa因子を阻害することで、血液が固まる働きを抑えます。心房で血液が固まりやすくなっている状態を改善することで、血栓が血管に詰まって生じる疾患(血栓塞栓症)が起こるのを防ぎます。 通常、深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症の治療および再発抑制、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制、小児の静脈血栓塞栓症の治療および再発抑制に用いられます。 |
服用方法 | ・深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症の治療および再発抑制:通常、成人は、最初の3週間は主成分として1回15mgを1日2回食後に服用し、それ以降は1回15mgを1日1回服用します。 ・非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制:通常、成人は主成分として1回15mgを1日1回食後に服用します。なお、腎障害がある場合には、1回10mgを1日1回に減量されます。 ・小児の静脈血栓塞栓症の治療および再発抑制:通常、体重30kg以上の小児は1回主成分として15mgを1日1回食後に服用します。必ず指示された服用方法に従ってください。 |
副作用 | 主な副作用として、鼻血、皮下出血、歯肉出血、血尿、結膜出血、貧血、創傷出血、喀血(せきがでるときに血がでる)、口腔内出血、痔出血、網膜出血、メレナ(黒色便)などが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。 まれに下記のような症状があらわれ、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。 このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。 ・吐き気、嘔吐、頭痛[出血(消化管出血、頭蓋内出血など)] ・吐き気、からだがだるい、白目や皮膚が黄色くなる[肝機能障害・黄疸] ・せき、血の混じった痰、息苦しい、息切れ、発熱[間質性肺疾患] ・鼻血、歯ぐきの出血、あおあざがでる、皮下出血、出血が止まりにくい[血小板減少] |
代表的な薬剤名 | プラザキサ |
ジェネリック医薬品 | なし |
効果 | トロンビンを阻害することにより血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぎます。 通常、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制に用いられます。 |
服用方法 | 通常、成人は主成分として1回150mgを1日2回服用します。なお、必要に応じて、主成分として1回110mgを1日2回に減量されます。 |
副作用 | 主な副作用として、消化不良、下痢、上腹部痛、鼻出血、吐き気、胸痛、皮下出血、血尿などが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。 まれに下記のような症状があらわれ、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。 このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。 ・頭痛・腹痛、黒色便・血便・血尿、歯肉出血・皮下出血[出血(消化管出血、頭蓋内出血など)] ・咳嗽、呼吸困難、発熱[間質性肺炎] ・じんましん、顔の腫れ、呼吸困難[アナフィラキシー] ・全身がだるい、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる[急性肝不全、肝機能障害、黄疸] |
代表的な薬剤名 | ワーファリン |
ジェネリック医薬品 | ワルファリンK |
効果 | ビタミンKの働きを抑えて血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぎます。 |
服用方法 | この薬を1日に飲む錠数と回数は、血液凝固能検査(プロトロンビン時間、トロンボテスト、INR)などの結果に基づいて医師により決められます。 小児の場合も血液凝固能検査などの結果に基づいて医師により決められますが、維持投与量の目安としては、12カ月未満:0.16mg/kg/日、1歳以上15歳未満:0.04〜0.10mg/kg/日となっています。 |
副作用 | 主な副作用として、発疹、そう痒症、紅斑、じんま疹、皮膚炎、発熱、脱毛などが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。 まれに下記のような症状があらわれ、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。 このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。 ・頭痛・胸痛・腹痛、黒色便・血便・血尿、歯肉出血・皮下出血[脳出血などの臓器内出血、粘膜出血、皮下出血など] ・痛みのある平らな赤い発疹、点状出血、出血性水疱[皮膚壊死] ・痛みを伴う皮膚の潰瘍、痛みを伴う青いあざができる[カルシフィラキシス] ・吐き気や嘔吐、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる[肝機能障害、黄疸] |
※服用方法は年齢、症状により適宜増減されることがあります。 医師の指示通りに服用してください。
また、上記の副作用はすべてを記載したものではありません。上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に相談してください。
監修 名古屋徳洲会総合病院 薬局 箱家 優子