血管新生緑内障について
はじめに
近年、緑内障というと、テレビなどのメディアの影響で割と多くの方が知っているようになりました。緑内障にはいろいろな種類があり、全てを紹介するのは困難です。今回は血管新生緑内障について簡単に紹介したいと思います。
血管新生緑内障とは教科書的には「隅角(ぐうかく)に生じた繊維血管膜により房水流出抵抗が増大し、眼圧上昇が起こる緑内障」と定義されています。
そもそも「隅角」とは聞きなれない言葉ですが、黒目と茶目の交わる場所で、目の周りをぐるっと1周しています。
ここからうまく房水(眼の中の水のことを房水といいます)が流れず、眼圧が急激に上がってしまう病気が血管新生緑内障です。
原因について
血管新生緑内障の原因は代表的なものが3つあります。
◎増殖糖尿病網膜症 … 糖尿病の合併症
◎網膜中心静脈閉塞症 … 血管が詰まる病気
◎眼虚血症候群 … 血流が眼に不足し起こる病気
(まれに眼腫瘍、ぶどう膜炎も原因となり得ます)
評価・加療について
まず診断に至るために細隙灯顕微鏡検査、および蛍光眼底造影をします。その後、眼圧を下げるための点眼をしますが、大抵これだけでは眼圧は下がりませんので、抗VEGF療法、レーザー光凝固術を併用していくことになります。
❖細隙灯顕微鏡検査 隅角の評価のために用います。 |
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❖蛍光眼底造影 網膜血管の評価のために用います。 |
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❖抗VEGF療法 体内のVEGF(血管内皮増殖因子)という物質が、 |
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❖レーザー光凝固術 既に発生している新生血管を退縮させるための治療です。 |
おわりに
地域の皆様の健康に、少しでもお役に立てましたらこれほど嬉しいことはありません。ご不明な点がありましたら、当院眼科にお尋ねください。
かすたねっと2022年7月号より