ダニ
はじめに
最近、ダニに対して関心が高まっています。感染症を媒介するダニはマダニとツツガムシに分けられます。マダニは成虫で2~8㎜と種類によって大きさが違いますが、肉眼で確認ができ、皮膚や衣類に付着します。吸血するために口器を刺入し、幼虫で3日間、成虫では1~2週間吸血し続け自然脱落します。これらのマダニの体内にリケッチア、ボレリア、ウイルス等を保有していた場合に感染症を発症することになります。
ツツガムシは1㎜以下の大きさで目に見えないほど小さく、なかなか気づきません。山野、河川敷に生息するため野外活動時に吸着されます。ツツガムシがリケッチアを保有していた場合は、ツツガムシ病と呼ばれます。
▲ フタトゲシマダニ と タテツツガムシ ▲ |
リケッチア感染症
❖ 日本紅斑熱
マダニに刺されて2~8日で39度以上の発熱が出て、倦怠感、頭痛、関節痛、筋肉痛を生じます。体に痒み・痛みの無い赤い斑点が発生します。マダニがすでに落ちている場合は刺し口はかさぶたになっていることもあります。通常、成虫が皮膚に付いたまま受診したような場合は、ほとんどこの病気の発症はないことから、すぐに落ちてしまう幼虫から感染するのではないかと推察されています。
抗生剤の点滴や内服治療で改善しますが放置すると重症化し内臓に影響が出るので早期の受診が必要です。
❖ 重症熱性血小板減少症候群
野生動物が出没するような山間部での発症であり、かなり局地的な偏りの強い疾患です。有効な治療法はなく死亡率は15%のため、そのような地域で活動し高熱が出た場合は速やかに受診し、全身管理が可能な医療機関での治療が必要となります。
❖ ツツガムシ病
潜伏期間は5~14日、39度以上の発熱、倦怠感、頭痛、関節痛、筋肉痛、食欲不振が現れます。下痢・嘔吐やリンパ節が腫れてくることもあります。皮疹は発熱後2日~数日で出現します。全身に散在し痛み、痒みはあまりありません。抗生剤の点滴内服治療で改善します。
ボレリア感染症
❖ ライム病
マダニによって感染するボレリア感染症です。初期は刺入部が赤く腫れてきて大きくなってきます。筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、倦怠感が出てきます。放置すると髄膜炎、不整脈、心筋炎、結膜炎を合併してきます。抗生剤の点滴内服治療が有効とされています。
予防としては、山間部などの屋外で活動する際には肌の露出を避け、虫よけを有効に活用することとされています。刺された場合はなるべく早期にマダニを除去することです。
さいごに
思い当たることがありましたら速やかに当院皮膚科、もしくは最寄りの医療機関へ受診することをお勧め致します。